商品モニターとして活動する中で、「報酬をもらったけど、これって確定申告が必要なの?」と戸惑う方は少なくありません。とくに、現金以外にも商品やポイントなどが提供される形式のため、どこまでが所得になるのか判断しにくいという声も多く見られます。
この記事では、「商品モニター報酬は確定申告の対象になるのか?」という疑問に絞り、税務処理の基本的な考え方を解説します。副業初心者の方でも理解できるよう、公的情報に基づいて丁寧に解説していきます。

商品モニター報酬は「所得」とみなされるのか
商品モニターとして得られる報酬は、税務上「所得」として扱われることがあります。ここでいう報酬とは、現金だけでなく、提供された商品、ギフト券、ポイントなど、金銭以外の経済的利益も含まれます。
たとえば、アンケートに回答して500円相当のギフト券をもらった場合、それは「経済的利益」として所得に該当します。国税庁も「所得税基本通達」で、物やサービスとして受け取る報酬も金銭換算して申告対象になると明記しています。
参考:国税庁 所得税基本通達https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihonshotoku/01.htm
さらに重要なのは、活動に「継続性」や「営利性」があるかどうかです。商品モニターを一度だけ体験した場合は申告不要とされることが多いですが、複数回にわたって報酬を得ている場合は、副業とみなされる可能性があります。
報酬の種類や金額だけでなく、「どのくらいの頻度で・どのような形で受け取っているか」によって、税務上の扱いが変わる点に注意しましょう。
- 商品やギフト券も課税対象になることがある
- 継続的な活動は副業と見なされやすい
確定申告が必要になる副収入のボーダーライン
商品モニターでもらった謝礼や報酬は、金額や働き方によっては確定申告が必要になる場合があります。「どのくらいの収入から申告が必要?」「扶養の範囲は超えない?」といった不安を持つ方も多いはずです。
この章では、立場ごとに「確定申告が必要になるかどうか」の目安を、分かりやすく表にまとめて解説します。
立場別|商品モニター報酬と確定申告の判断早見表
立場・状況 |
申告が必要な目安 |
補足 |
会社員など給与所得あり |
副収入が年20万円超 |
雑所得として確定申告が必要になる可能性あり【※1】 |
専業主婦・学生など給与なし |
所得が年48万円超 |
基礎控除を超えると課税対象に【※2】 |
扶養に入っている人 |
年収103万円・130万円を超える |
商品提供も収入として扱われる場合がある【※3】 |
※(2025年6月時点)あくまで目安のため、詳しく知りたい方は国税庁、厚生労働省のHPをご確認くださいませ。
【※1】国税庁|給与所得者で確定申告が必要な人https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
【※2】国税庁|基礎控除の概要
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
【※3】厚生労働省|扶養と社会保険の関係https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
- 商品モニターの報酬も、副収入として確定申告が必要になる場合がある
- 自分の働き方や立場によって申告ラインは異なるため、早めに把握しておくことが大切
- この表はあくまで参考であり、判断に迷う場合は税理士などへの専門家へ相談がおすすめ
商品モニターの報酬はどの「所得」に当たるのか?

確定申告を行う際には、得た収入がどの「所得」に分類されるかを判断することが重要です。所得には「給与所得」「事業所得」「雑所得」などいくつかの種類があり、分類によって申告の方法や課税の対象が変わってきます。
一般的には「雑所得」に分類される
商品モニターとして活動した際に得られる報酬は、一般的に「雑所得」に分類されます。
企業と雇用契約を結ばず、個人として単発的にモニター活動を行う場合が多いためです。
以下のような活動から得られる報酬が、雑所得に該当します。
- 商品を使用し、感想を提出して謝礼を受け取る
- 飲食店などでモニター体験をし、報酬が支払われる
- アンケートに回答してギフト券やポイントを得る
なお、報酬が現金でなくても、金銭的価値のあるもの(ギフト券・ポイント・モニター用商品の代金免除など)は課税対象になる可能性があります。
参考:厚生労働省 No.1500 雑所得https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm?utm_source=chatgpt.com
ケースによっては別の所得に該当することも
モニター活動の内容や契約形態によっては、「雑所得」ではなく別の所得区分に該当するケースもあります。
たとえば、継続的に企業から報酬を受け取り、業務委託契約を結んでいたり、勤務時間や仕事内容に関する指示を受けていたりする場合は、「事業所得」や「給与所得」と見なされる可能性があります。
判断に迷う場合は専門家への相談を
所得区分は、モニター活動の実態によって判断されるため、一概に決められるものではありません。そのため、「自分のケースはどれに当たるのか分からない」と感じる場合は、税理士や税務署に相談するのが確実です。
国税庁の公式サイトにも所得区分に関する情報が掲載されていますので、参考にすると良いでしょう。
参考:国税庁 所得の種類
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm
- 商品モニターの報酬は原則「雑所得」に分類される
- 継続性や契約の有無によって、別の所得になるケースもある
- 所得の判断が難しい場合は、税理士や税務署に相談するのが安心
商品モニター報酬にかかる経費の考え方と計上方法
商品モニターとして活動する中では、報酬を得るために必要な支出が発生することがあります。たとえば、購入型モニターでの商品代金や、店舗訪問時の交通費、レポート提出のための通信環境の維持費などが代表的です。これらの出費は、「報酬を得る目的で使ったことが明確」であれば、確定申告において経費として計上できる可能性があります。
ただし、すべての出費が自動的に経費になるわけではありません。あくまで、収入を得るために必要だったと合理的に説明できる支出に限られます。ここでは、商品モニターにおける代表的な経費の例と、経費計上に欠かせない「按分(あんぶん)」という考え方について、わかりやすく整理していきます。
商品モニターで計上されやすい経費の例
以下は、商品モニター活動でよく発生する支出の一例です。それぞれの費用が経費に該当するかどうかは、使い方や目的によって変わります。
経費の種類 |
モニター活動での具体例 |
計上の考え方(補足) |
交通費 |
店舗型モニターで現地に行った際の電車・バス代など |
自宅からモニター先への往復費用に限って対象 |
通信費 |
応募・レポート提出で使ったスマホやWi-Fiの通信料 |
モニター活動に使った割合を見積もって按分(例:3割使用 → 全体の30%) |
立替費(商品代) |
購入型モニターでの飲食物や日用品の購入費 |
モニター会社から報酬とは別に返金されない場合に限って経費計上が可能 |
備品費 |
ノート、文房具、収納資材などレポート作成・商品保管に使う道具 |
モニター活動の目的が明確であれば対象となる |
水道光熱費 |
モニター中のPC使用やカメラ撮影による電気代の一部 |
家庭利用分と分けて按分が必要。全額は認められない |
※最終的な判断は個々の状況によるため、確定申告の際は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
参考:国税庁 No.2210 必要経費の知識https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm?utm_source=chatgpt.com
経費計上に欠かせない「按分(あんぶん)」とは?
経費として認められる出費の中には、私生活と兼用しているケースも少なくありません。その場合は、「全体のうち何割がモニター活動に使われたか?」という視点で、経費としての部分だけを抜き出す必要があります。これを「按分(あんぶん)」といいます。
「どのくらい使ったか」という比率で分けることにより、私的利用との境界を明確にし、適正な計上が可能になります。
- 商品モニターとして報酬を得るために発生した支出は、一定の条件を満たせば経費として計上できる可能性があります。
- 経費の対象となるかどうかは「業務上必要だったかどうか」が判断基準です。
- 通信費や光熱費など、私用と兼用する支出は「按分」によって業務利用分を算出します。
- 判断に迷う場合は、無理に自己判断せず、税理士などの専門家に相談しましょう。

商品モニター報酬の確定申告手続きの流れ

商品モニターとして得た報酬は、条件によっては確定申告が必要になることがあります。
ここでは、モニター活動による報酬の申告手続きを、ステップごとにわかりやすく解説します。
ステップ1|年間の報酬を集計する
まず、その年(1月1日〜12月31日)に得た報酬をすべて集計しましょう。
現金での振込だけでなく、換金性の高いポイントやギフト券なども、場合によっては課税対象とみなされます。
ステップ2|必要経費を整理する
報酬を得るためにかかった支出は「必要経費」として計上できる可能性があります。
たとえば、店舗訪問の交通費やレポート提出に使う通信費などが該当します。
ただし、私用と兼ねて使っているもの(スマホやWi-Fiなど)は、モニター活動に使用した割合だけを「按分(あんぶん)」して経費計上する必要があります。
参考:国税庁 必要経費の範囲
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
ステップ3|申告書の作成方法を選ぶ
申告書は、以下のいずれかの方法で作成できます。
方法 |
特徴 |
e-Tax(電子申告) |
オンラインで提出まで完結。マイナンバーカードが必要。 |
確定申告書作成コーナー |
ウェブ上で作成し、印刷して郵送または持参。 |
手書き提出 |
税務署などで入手した用紙に記入し提出。 |
参考:国税庁 確定申告書等作成コーナー
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
ステップ4|提出と納税を行う
申告書が完成したら、税務署に提出し、必要に応じて税金を納めます。
提出方法は、オンライン(e-Tax)または郵送・持参から選べます。
【申告と納付の期限】
原則として、翌年2月16日〜3月15日までです。
※締切日が土日祝日の場合は、翌平日が期限となります。
参考:国税庁 確定申告書等の様式・手引き等
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/index.htm
ステップ5|迷ったら専門家に相談する
申告の必要性や経費の扱いなど、判断に迷うこともあります。
そのような場合は、税理士などの専門家に相談することで、より適切な処理が可能になります。
ポイントや現物で受け取った報酬も申告が必要?

商品モニターでは、報酬が現金ではなく、ポイントやギフト券、商品の現物として支払われることがあります。一見すると「お金ではないから申告の必要はない」と思いがちですが、実際には経済的な価値があるものとして所得と見なされる可能性があります。
たとえば、市販価格5,000円相当の商品をモニター報酬として受け取った場合、それが「モニター活動の対価」と判断されれば、その分が所得に該当し、申告対象となることがあります。
ただし、すべてのポイントや現物が申告対象となるわけではありません。
判断のポイントは以下の2点です
- それが「モニター活動の対価」として提供されたものか
- 年間の雑所得の定められている金額を超えているか
たとえば、キャンペーンで偶然もらったプレゼントや抽選に当たったギフトは、通常、申告対象外です。一方で、モニター報酬として明示的に提供されたものであれば、課税対象と見なされる可能性が高くなります。
もし「これって申告が必要なのかな?」と迷ったときは、一人で判断せず、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
少額だからといって油断は禁物
一度きりのモニターや、少額のポイントだけであれば、すぐに税務署の調査対象となる可能性は低いかもしれません。しかし、複数回のモニター活動でポイントや商品が積み重なり、一定額を超える場合は申告対象となることがあります。
判断に迷ったときは、自分だけで判断せず、税務署や税理士に相談するのが安心です。
特に副業として継続的にモニターを行っている場合は、事前に確認しておくことで、リスクを未然に防ぐことができます。
まとめ|モニター報酬の確定申告は内容を見極め、迷ったら早めに確認を
商品モニターとして得た報酬は、現金に限らずポイントや現物であっても、その内容や金額によっては「所得」として確定申告の対象になることがあります。とくに、報酬額が一定以上になると課税対象となるため、「お小遣い程度だから大丈夫」と見過ごしていると、思わぬ申告漏れにつながるおそれがあります。
また、通信費や交通費など、モニター活動にかかった費用は経費として計上できる可能性もあります。
こうした収入や経費の扱いについて不安がある場合は、税理士などの専門家に早めに相談するのがおすすめです。モニター副業を安心して続けるためにも、ルールを正しく理解し、適切に対応していきましょう。
